産業用インクジェットプリンターの価格相場は?コスト削減となった事例を紹介

産業用インクジェットプリンターは、製造・物流現場で非接触かつ高精度な印字が可能で、多品種少量生産にも対応できます。価格は30万円〜2,780万円で、平均は約316万円です。
導入により印字品質や作業効率が向上し、人件費や資材費の削減にも寄与します。実際には年間約350万円のコスト削減が実現されています。
目次
産業用インクジェットプリンターとは?

引用元:フォトAC
産業用インクジェットプリンターは、製造業や物流業を中心に幅広い業界で使用されている、高精度かつ高速な印刷機器です。製品やパッケージへの印字を非接触で行える点が最大の特徴で、生産ライン上でもスムーズに印刷が可能です。
◇一般的なプリンターとの違い
家庭用のインクジェットプリンターと基本構造は似ていますが、産業用インクジェットプリンターは生産ラインでの使用に特化しており、より高速で耐久性のある設計となっています。非接触印刷が可能なため、印刷対象に直接触れずに加工ができ、スムーズな自動化が可能です。
◇産業用インクジェットプリンターが選ばれる理由
従来はスタンプ式の自動捺印装置が主流でしたが、産業用インクジェットプリンターはコンピューター制御によって可変データの印刷が可能になり、多品種少量生産にも柔軟に対応できる点で優れています。
◇今後の展望
高解像度化や環境配慮型インクの採用など、技術革新が進んでおり、産業用インクジェットプリンターは今後ますます生産性と持続可能性を両立する重要なツールとして注目されています。
効率的な生産ライン構築と品質向上を目指す企業にとって、導入価値の高い設備と言えるでしょう。
◇導入のメリット
操作が簡単で誰でも使いやすい
専用のコントローラーとキーボードを使って、データ設定や操作が直感的に行えるため、初心者でも手軽に扱えます。
印字時に手が汚れる心配もなく、作業者による品質のばらつきも防げます。
主なメリット
- 印字版の摩耗による文字のかすれがない
- 操作に特別なスキルを必要としない
- 常に一定の品質を維持できる
高精度な印字と豊富な機能
このプリンターは、プロトコルデータを多数登録可能で、以下のような印字が正確に行えます。
- 製造日や使用期限などの日付
- 製品番号やロット番号
- ナンバリングなどの可変情報
高解像度機種では最大600dpi(2558ドット)という高精細な印字が可能で、小さな文字もくっきり表示できます。
幅広い素材に対応し、コストも抑えられる
対応素材は多岐にわたり、以下のような表面にも印字できます。
- 紙製品(パッケージ・ラベルなど)
- プラスチック製品
- 金属製部品
- ガラス瓶などの硬質素材
また、高品質な印字を実現しながら、コストパフォーマンスにも優れているため、さまざまな業種で導入が進んでいます。
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産業用インクジェットプリンターの価格相場

引用元:フォトAC
産業用インクジェットプリンターは、製造業や物流業において、製品や梱包材への印字作業を自動化・効率化するために欠かせない設備です。機種によって印字方式や対応素材、機能に違いがあり、導入コストにも大きな幅があります。
◇価格の目安
Metoreeに登録されている384製品のデータを基にした価格相場は以下のとおりです。
(2025年2月14日時点)
- 最低価格:298,000円(小型・低価格モデル)
- 最高価格:27,800,000円(高性能・特殊用途モデル)
- 平均価格:3,160,863円
出典:Metoree
◇用途に応じたモデル選び
- 低価格モデルは、シンプルな機能で構成されており、中小規模の製造ラインや限られた印字用途に適しています。
- 高価格帯のモデルは、解像度が高く、多機能な印字制御が可能で、食品・医薬品・自動車部品など多様な業界の大規模生産ラインに最適です。
◇他方式とのコスト比較
産業用プリンターには、インクジェット方式のほかにもサーマルプリンターやレーザープリンターなどが存在しますが、これらは以下の点でコストが上がる傾向にあります。
- サーマルプリンター:消耗部品の交換費用が高額
- レーザープリンター:消費電力が高く、電気代がかさみやすい
◇導入時の注意点
初期導入費だけでなく、以下のランニングコストにも目を向ける必要があります。
- 使用するインクや溶剤の費用
- 定期的なメンテナンス費
- 故障時の修理対応や予備機の確保
こうした要素を総合的に考慮することで、自社に合った最適なプリンターを選ぶことができます。導入前には、使用環境や印字対象、印字内容に応じた製品選定が重要です。
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産業用プリンターのランニングコスト

引用元:フォトAC
産業用プリンターを選ぶ際は、本体価格だけでなく、長期的な運用コスト(ランニングコスト)も重要な判断材料です。特に、大量印字を行う現場では、日々の消耗品費用やエネルギーコストが累積し、総コストに大きな影響を与えます。
◇インクジェットプリンター
インクジェット方式は、非接触でさまざまな素材に印字でき、以下の2種類があります。
- 大文字用プリンター
シンプルな構造で、印字範囲が広いため、段ボールや外装箱へのロゴや識別番号の印字に適しています。導入・運用コストが比較的抑えやすい点が魅力です。 - 小文字用プリンター
より高精度な印字に対応しており、賞味期限やロット番号の印字などに多く使われます。初期費用は高めですが、インク消費効率が良く、長期的にはコストメリットが大きいのが特徴です。
◇サーマルプリンター
サーマルプリンターは、熱を使って印字する方式で、以下の2タイプがあります。
- 感熱転写式:専用の感熱紙を使用
- 熱転写式:インクリボンを使って印字
本体は軽量で扱いやすい一方で、消耗品であるインクリボンのコストが高めです。
使用頻度が高い場合は、本体価格よりもランニングコストの方が負担になるケースも見られます。
◇レーザープリンター
レーザープリンターは、トナーを使って高精度な印字を行う方式です。消耗品が少なく、メンテナンスも容易です。
しかし、高出力のレーザーを使用するため電気代がかさむ点に注意が必要です。頻繁に連続稼働する環境では、電力消費による運用コストが上昇することがあります。
◇ラベルプリンター
ラベルプリンターは、粘着性のラベルに情報を印字する専用機器です。連続印刷が可能で、バーコードや物流ラベルの発行に適しています。
本体価格は安価ですが、専用ラベルやインクリボンといった消耗品の費用がかかるため、長期運用ではその管理が重要です。用途が限定的で、他方式と比べて汎用性にはやや欠けます。
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産業用インクジェットプリンターを導入してコスト削減となった事例
産業用インクジェットプリンターの導入は、工程の簡略化とコスト削減に大きな効果をもたらします。
以下は、実際に導入された企業の事例を基に、その効果を具体的にご紹介します。
出典:紀州技研
◇導入前の課題
これまで、製品ごとに異なる段ボールを用意し、以下のような作業が必要でした。
- 商品専用の段ボール印刷手配
- 手押しによる4面捺印作業
- ラベル貼付・貼り替えの手間
- 表示内容の管理が煩雑
これらの工程は作業時間や人件費の増加、管理負担の増大につながっていました。
◇導入後の改善点
シート状段ボール印字装置を導入することで、無地の段ボールへ直接印字が可能となり、以下のような改善が実現しました:
- ラベル貼り替え作業が不要に
- 商品ごとの段ボール管理も簡略化
- 表示の統一とトレーサビリティ向上
結果として、工程の自動化と作業の標準化が実現し、全体の作業効率が大幅に向上しました。
◇導入によるコスト削減実績
具体的なコストダウン効果は次の通りです。
- 人件費削減:46%ダウン → 年間 約382万円の削減
- 資材費削減:3.75%ダウン → 年間 約144万円の削減
- インク・メンテナンス費用:年間 約175万円
- 合計削減効果:年間 約352万円のコストダウンを実現
このように、導入コストを差し引いても十分な費用対効果が得られています。
産業用インクジェットプリンターを取り扱っているメーカーを紹介
産業用インクジェットプリンターは、製造・物流の現場での工程短縮やコスト削減に大きく貢献します。ここでは、代表的なメーカーをご紹介します。
◇株式会社モリコー

株式会社モリコーは、1924年創業の押印機メーカーです。長年の技術革新を経て、印字と搬送技術を活かした製品を展開しており、産業用インクジェットプリンターでは、「ヘリオスシリーズ」があります。
会社名 | 株式会社モリコー |
本社所在地 | 〒152-0002 東京都目黒区目黒本町2-16-14 |
電話番号 | 03-3711-5511 |
公式ホームページ | https://www.morico.co.jp/ |
独自の分離技術により、梱包資材へ賞味期限やロット番号などを自動印字でき、安全管理に貢献しています。
株式会社モリコーの口コミ・評判記事はこちら!
▼株式会社モリコーの産業用インクジェットプリンター「ヘリオス108インクジェットプリンター」
さらに詳しい情報は公式ホームページでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。
◇紀州技研工業株式会社

紀州技研工業株式会社は、産業用インクジェットプリンターで国内トップシェアを誇る信頼のメーカーです。特に段ボール印字用プリンターでは国内シェアの45%を占め、ペットボトルの蓋や缶飲料の製造番号印字など、さまざまな分野で活用されています。
会社名 | 紀州技研工業株式会社 |
本社所在地 | 〒641-0015 和歌山県和歌山市布引466 |
電話番号 | 073-445-6610 |
公式ホームページ | https://www.kishugiken.co.jp/ |
技術力と品質の高さから、多くの業界で支持を集めています。
紀州技研工業株式会社の口コミ評判記事はこちら!
▼紀州技研工業株式会社の産業用インクジェットプリンター「KGK JET HQ8500」
◇山崎産業株式会社

創業55年を誇る山崎産業は、産業用インクジェットプリンターを中心に、食品・化学・物流など多岐にわたる業界向けのマーキングシステムを提供する信頼のメーカーです。同社のプリンターは、コンパクト設計で運搬が容易、設置や操作もシンプルで、効率的な運用が可能です。
会社名 | 山崎産業株式会社 |
本社所在地 | 〒285-0853 千葉県佐倉市小竹785-6 |
電話番号 | 043-463-0960 |
公式ホームページ | https://www.technomark.co.jp/ |
優れたコストパフォーマンスを兼ね備えており、多くの企業に選ばれています。
山崎産業株式会社の口コミ評判記事はこちら!
▼山崎産業株式会社の産業用インクジェットプリンター「グラフィカ3000」
◇アルマーク株式会社

アルマーク株式会社は、産業用インクジェットプリンターやマーキング装置を専門に扱う企業です。1967年にユニオンパッケージング株式会社として設立され、事業拡大を経て2017年に現社名へ変更しました。
会社名 | アルマーク株式会社 |
本社所在地 | 〒564-0053 大阪府吹田市江の木町19-19 |
電話番号 | 0120-975-191 |
公式ホームページ | https://www.almarq.co.jp/ |
産業用マーキングのエキスパートとして日本のものづくりに貢献し、ISO9001やISO14001を取得するなど、品質管理と環境保全にも取り組んでいます。
アルマーク株式会社の口コミ評判記事はこちら!
▼アルマーク株式会社の産業用インクジェットプリンター「アップリンクMRX72e」
まとめ
産業用インクジェットプリンターは、製造や物流の現場で非接触かつ高精度な印字を実現し、多品種少量生産にも柔軟に対応できる設備です。価格帯は約30万円から2,780万円と幅広く、平均価格は約316万円となっています。
導入することで印字の品質が安定し、作業効率が向上し、人件費や資材費の削減にもつながります。実際の導入事例では、年間約350万円のコスト削減が報告されています。
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